西山 公人の「繁盛店レポート」第二回

フランチャイズ展開

自社業態の多店舗化にあたって資金面で壁にぶつかった際に、「これだけ儲かっている店舗なのだから、一気にフランチャイズ(以下、FC)化すれば、加盟金収入を使って直営店の出店ができるのではないか?」と考え、安易にFCに取組む経営者をたまに見かける。

メリットとリスク

確かに会社としては大きく飛躍できる可能性があるし、店舗としても仕入コスト低減などにより業態力が強くなることも考えられ、FC化は良いことばかりのようにも見えるが、一方で、加盟してもらったフランチャイジー(以下FCジー)店舗で思ったような業績が出ないことによる「訴訟のリスク」や、運営レベルの低いFCジー店舗での食中毒の発生などによる「イメージダウンのリスク」、また研修トレーナーやスーパーバイザーを先に抱えることによる「赤字のリスク」なども考える必要がある。

しかしながら、2000年以降一気に急拡大をして日本中を席巻した「炭火焼肉酒家 牛角」チェーン(レインズインターナショナル)や、昨今TVなどのマスコミに引っ張りだこの「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」チェーン(エムグラントフードサービス)など、うまくFC化ができると一気にベンチャー企業から成長企業へと企業のステージが上がって行くことも事実である。

成功するための3つの条件とは?

では、我々経営者は、FCについてどのように向き合っていけばよいのだろうか?
成功しているFCチェーンの特長と私自身の経験から以下の4点を踏まえておくことが、FC展開を検討する上でとても大事なポイントになると思う。

まずは、いつの時代もあまり変わらないFCチェーンとして成功するための普遍的な条件を3つご紹介する。

第1条件は「市場規模」である。
焼肉チェーン、ステーキチェーン、コーヒーチェーン、ラーメンチェーンなど、いずれの業態も「市場規模」が大きな分野に属している。
もしみなさんの経営している業態が、市場規模の小さい独特の分野(趣味のお店など)であれば、FC化による急拡大は難しいと思う。

第2条件は「シンプルオペレーション」である。
高度な調理技術を求められる業態とか、難しい接客技術を求められる業態では、人材育成が間に合わず、スピーディーなFC展開は難しい。
できるだけ簡単な調理で、アルバイト中心でもきちんと回る店舗作りが、FC展開においては必要な条件となってくる。

第3条件は「出店立地が容易」である。
これは、特定の立地でしか成立しない業態であると、その「特定の立地で良い物件」が出てこないと出店すらできないという状況になってしまう。
みなさんのお店は、どのような立地&物件に出店をしているだろうか?是非再点検をしていただきたい。



そしてみなさんのお店が上記3つの条件を満たしているようであれば、最後にFCジーの目線である「投資回収期間」をチェックしてみてもらいたい。
「うちの店はとにかくうまい!」とか、「これだけ売上があるのだから加盟をして当然!」と考えがちなFC本部が多いが、FCジー企業もビジネスとしてFCを検討しているわけであり、「投資したお金がどれくらいの期間で回収できるのか?」が大事な要素となってくる。

この「投資回収期間」であるが、この2・3年のトレンドとしては、保証金を除いた実際に投資した総投資金額を、店舗ベースの経常利益で24ヶ月以内回収というのが一つの目線となってきている。
仮に加盟金・工事代金・厨房機器などの総投資が2,400万円だとすると、毎月の店舗の経常利益が平均100万円というのが理想である。


もし将来的にFC展開を視野に入れているのであれば、上記4つの視点を踏まえた業態をっ作っていくのも面白いかもしれない。

次回は、人材育成についてお話しをしていく。

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